顔面神経麻痺は治療出来る期間が限られれた病気です。
顔面神経麻痺の病状については、ネットその他で色々と書かれていますが、上記のような肝心なことを見落としがちですので、まず初めに知っておく必要があります。
治療出来る期間を過ぎると、顔面神経麻痺の予後は大きく3つにわかれます。
- その期間内に完全に治癒する方
- 顔をよく見ても、接していてもほとんどわからないが、少し後遺症が残る方
- 一見分かり難いが、笑ったりするとゆがみがわかり、かなり後遺症が残る方
このことを念頭にして治療の出来る期間内にしっかりと治療をすることがとても大切なことです。
顔面神経と顔面神経麻痺について
顔面神経は3つの役割を持っています。
涙や唾液を出す。副交感性の分泌繊維。(上唾液核から出る)
といった形で困らせます。
(膝神経節から出て鼓索神経、味覚神経となる(舌前3分の2に分布しています))
※味覚異常は比較的早く消退するケースが多いですが、この場合は膝神経から味覚神経を真に侵されたものではなく、圧迫や浮腫などによる一時的な味覚異常と考えられます。
顔面神経は脳(橋と延髄椎体の間)から出ている。12対の末梢神経の中の一つです
顔面神経は内耳神経とともに内耳道に入り,途中で内耳神経と分かれて顔面神経管に入ります。
顔面神経膝で曲がって後,茎乳突孔から外頭蓋底に出ます。茎乳突孔から出た顔面神経は,耳下腺中で耳下腺神経叢を作り、顔面筋,頭蓋筋などに分布します。顔面神経管下部でアブミ骨筋神経が分かれてアブミ骨筋に入ります。
顔面神経麻痺は脳から顔面に至るまでの、顔面神経の経路上のどこかに障害が起きて出る病気です。
症状と特徴
顔面神経麻痺の症状
- (内耳道部・聴神経の障害は)難聴、耳鳴り、眩暈などが現れる
- (膝部・膝神経節とそれより中枢側、大椎体神経の障害は)涙腺の分泌障害によって目の乾燥が現れます
- (膝部・アブミ骨筋神経より中枢側の障害は)聴覚過敏や独特の耳鳴りとなる
- (乳突部・鼓策神経合流部より中枢側の障害は)舌前3分の2の味覚障害や唾液分泌障害が現れます。
- (茎乳突孔より抹消の運動神経<運動枝のみ>の障害は)表情筋の麻痺として現れる
- 前頭筋が麻痺することで、額にシワ寄せが出来なくなります。
- 眼輪筋が麻痺した為に、兎眼となります。
- 口輪筋が麻痺した為に、口角から水がこぼれるようになります。
- 広頚筋の収縮欠如がみられ、頚部の血流障害により痛みを訴えるケースがあります。
- 涙管のポンプ作用を司る眼輪筋やHorner筋が麻痺した為に、流涙過多となります。
顔面神経麻痺の前駆症状
いきなり顔面神経麻痺になってしまったというケースもありますが、よくお聞きすると顔面神経麻痺になる数日前に以下のような体の状態だったことが多くみられます。
- 風邪をひいていた
- 熱があった
- 顔にヘルペスのようなものができた
- 耳の周囲が痛かった
- 疲れていた
顔面神経麻痺に気づくきっかけ
顔面神経麻痺という病名は、病院にかかって診断されてから後の話ですが、それ以前に顔面神経麻痺になったと最初に気づくきっかけの症状は以下のようなことが多いです。
- 歯磨きをしていてうがいがし難い
- 口元から水がこぼれる
- 食べにくい
- しゃべりにくい
- 顔の動きがおかしい
- 家族や他人から顔がおかしいと指摘される
- 鏡をみておかしさに気づく
これらの症状は時間経過とともにさらにひどくなってきます。
原因
中枢性の顔面神経麻痺
脳梗塞や脳出血・脳腫瘍など橋部にある顔面神経核より中枢側で傷害されたものです。
顔面神経の第一次ニューロンの障害(核上性麻痺)によって顔面神経麻痺症状となったものです。
中枢性顔面神経麻痺の特徴は額のシワをよせることが出来ることです。前頭部は左右両側の顔面神経から支配を受けており、片側の核上麻痺だけでは麻痺症状は出ません。
末端の神経麻痺
顔面神経核またはそれよりも抹消側に障害があるものを末梢性(核下性)顔面神経麻痺と言います。
患側の額のしわ寄せが出来ません。
特発性 Bell(ベル)麻痺 (原因が特定出来ない顔面神経麻痺)
顔面神経麻痺の60%をしめると言われています。ベル麻痺の自然治癒率は71パーセントのデータが示されています。
原因は虚血説、リュウマチ説、自己免疫説、血管による圧迫説、単純ヘルペス説などと言われています。その誘引として寒冷ないし風の暴露、上気道炎、副鼻空炎、糖尿病、疲労、ストレスなどが考えられます。
現在ベル麻痺の原因として最も有力視されているのが、ヒト単純ヘルペスウィルス(HSV−1)による再活性説です。若年時に口唇や口内炎などで単純ヘルペスに罹り、そのまま顔面神経節に潜伏していたウィルスが、疲労やストレス、寒冷などで再活性化し、神経の炎症による浮腫が顔面神経管を圧迫して顔面神経麻痺を発症させるというものです。
Ramsay Hunt(ラムゼイ・ハント)症候群
顔面神経麻痺の15%を占めると言われています。ラムゼイ・ハント症候群の自然治癒率は40パーセントのデータが示されています。
帯状疱疹ウィルスの再活性化が原因と言われています。膝神経節に水痘・帯状疱疹ウィルスが感染して起こります。
顔面神経の他に第8脳神経(内耳神経)の障害を合併しやすくなります。耳介、外耳道に神経痛様の痛みがあり1週間以内に発赤、小水疱が発生し顔面神経麻痺となるという過程をたどります。
内耳神経症状として耳鳴り、難聴、眩暈、平衡障害、悪心嘔吐、眼振等がありこれらの症状は2週間ほどで消失します。
帯状疱疹なしに神経痛様疼痛と麻痺を伴うものを不全型といいます。予後はベル麻痺よりは良くないと言われています。
臨床では痛みを伴わないで発疹のみであったり、耳下腺部の腫れと痛みだけがあったものもハント症候群と診断されているケースがあります。西洋医学の臨床ではウィルス関与かどうか、ハント症候群と診断のつかないケースでも抗ウィルス薬が出されることが多くあります。
その他
頭頚部の外傷(6%)や中耳性(真珠腫、中耳炎など4%)、手術損傷(3%)腫瘍による顔面神経麻痺なども顔面神経麻痺になる原因としてあります。
予後の判定
顔面神経麻痺を発症して2週間時点で柳原40点評価法の麻痺スコアが10点以上なら不全麻痺。8点以下の場合完全麻痺として予後不良と判定します。
- 20点以上あれば1ヶ月以内で完治と予測
- 20点以上あれば4ヶ月以内で完治と予測
- 20点に達しなければ4ヶ月以後に病的な共同運動が出ることが予測
病院で電気生理学的検査をして、例えば
ENoG(Electroneurography){茎乳突孔部で神経幹を刺激して患側と健側の振幅比で機能の予後を診断する}場合で10%以下の場合は予後不良と考えられています。
麻痺発症時点では
味覚鈍麻、聴覚過敏、涙の分泌低下、頚部の痛みを訴える場合も予後不良と考えられていますが、早期に消退する場合は、損傷部からの一時的な影響と考えられ、上記の症状がどれだけの期間続くかで予後判定ができます。
表情筋の動きが悪いから麻痺の程度が強いとは言えません。
末梢神経の軸索と髄鞘の崩壊(Waller変性)の程度によって決まり、Waller変性が神経線維を広く侵せば後遺症が残ると考えられ、病的な共同運動が出ることはWaller変性(軸索断裂)から神経混線になっていると考えられます。
ただし病院や診療所によっては、顔面神経麻痺の点数評価や電気生理学的検査をされないところがあります。顔面神経麻痺の重度を判定することは予後と大きく関係し、早期の指導が後遺症状の有無と直結します。顔面神経麻痺の重度評価を行い、後遺症の説明と指導がされる医療機関を受診されるようお勧めします。
後遺症
顔面神経麻痺が発症して、4ヶ月前後から以下のような後遺症が出てきます。
病的共同運動
眼と口が連動して動く病的な共同運動が出現することがあります。瞬きをすると口角がピクピクと動いたり、話したり食べたりする動作時に目が細くなったりする神経の混戦による症状です。
顔面筋の拘縮
患側顔面の筋が持続的に収縮した為に起こります。顔面神経の再生神経の数が少ない為に起こり、安静時にも顔が非対称に見えたり、鼻唇溝(豊麗線)が深く見えたりします。
顔面痙攣
口や目の周囲に局所的に軽度の痙攣が出現する場合があります。
ワニの涙目
食事中に多量の涙が出る現象を言います。涙腺へ行く神経と唾液腺へ行く神経が混線して起こる症状です。
アブミ骨筋性耳鳴り
目を閉じたり口を開閉するなど顔の表情筋を動かすと、アブミ骨筋が収縮して耳閉感や耳鳴りが出現する症状です。これも筋肉に伝わる神経の混戦が原因で起こる症状です。
末梢性の顔面神経麻痺では知覚障害が残存することはほとんどありません。
病院での治療法
ステロイドの投与、ビタミン剤、循環改善剤、血管拡張剤、星状神経節ブロック、ハント症候群の場合は抗ウィルス剤が投与されます。
(手術)顔面神経の減荷手術も行なわれます。
顔面神経麻痺に対する手術対象は予後不良。すなわち顔面神経麻痺発症後3週間時点で、40点評価法で8点以下。電気生理学的検査法(ENoG)で10%以下の数値を目安に
おこなわれているようです。
顔面神経麻痺に対する病院での治療としては、発症初期のステロイド治療と、抗ウィルス治療が終われば積極的な治療は無くなると言っていいかもしれません。
鍼灸施術の効果
同一人物で鍼灸施術を受けた場合と受けなかった場合の結果を比べることは出来ません。しかし病院に通院している方の顔面神経麻痺評価点数が停滞していて、鍼灸施術を開始してから点数が上がり出すことは全ての症例に共通します。
例えば現在通院中の患者様で、顔面神経麻痺発症から10ヶ月経って、症状が良くならないと言うことで当院を受診されました。その時点の顔面神経麻痺評価点数が40点満点の18点でした。が1ヶ月後22点、2ヶ月後24点、3ヶ月後26点と3ヶ月で8点上がっています。
発症から10ヶ月も経つと点数の上昇はなかなか見込めなくなりますので、この数字は客観的に評価できる数字だと考えております。
また症例上から参考になるものを掲載します。
「顔面神経麻痺に対して確実に鍼灸治療の効果を物語る症例 33才 男性」
詳しくは顔面神経麻痺症例へ
上記症例は、2ヶ月半の鍼灸施術ブランクがあり、ブランク中、病院での顔面神経麻痺治療は継続しております。にも関わらずブランク前後の顔面神経麻痺評価点数が同じであり、鍼灸施術を開始してから症状の改善がみられた症例です。
実際には点数よりも後遺症の方がさらに大きな問題であり、重症度によっては後遺症で生涯悩むことになります。この後遺症の治療になると西洋医学ではさらに難しいのが現状です 。
顔の筋肉の筋張りや痙攣などの変化など、実際に医師も3ヶ月に1度の数分の診察ではわかりませんし、治す手段がありません。
後遺症による顔の筋張りや硬結、痙攣などの細かな変化と改善手段は。PTを含め 鍼灸施術の独壇場にあります。
当院での治療法
顔面神経麻痺に対する当院の特徴
当院での最も大きな特徴は、沢山の顔面神経麻痺の患者様を診させていただき、様々な臨床経験や、学習をさせていただいてきたことで、顔面神経麻痺の重度さと、現在の状態の特徴、今後どう推移するか。何をしたらだめなのか。現在鍼灸施術ではどこに対してどんな治療法をするべきか。予後の判定、と言ったことが概ね判ること。
そして、あらかじめ予想できる後遺症を、最低限におさえこむことが出来ることでしょう。
施術方法は、鍼灸施術と遠絡療法、顔面の運動とマッサージを、先程書いたように、顔面神経麻痺の進行状況と、お一人お一人の既往歴やアレルギーや糖尿病と言った現病歴などに応じておこないます。
施術の流れ
初診時は予診表をまず書いていただき、それを本に質問をさせていただきます。それから顔面神経麻痺評価点数をつけ、現在の状態と治療の説明、今後の推移予想などをさせていただきます。それから治療ベッドに横になっていただき、東洋医学の診察法である、脈診、腹診、切経(触診)などをいたします。
後遺症が予想される患者様は、日常の話し方、食べ方、顔の運動法、マッサージ法など、この時点から後遺症予防が必要となります。
治療は主に鍼灸施術と遠絡療法をおこないます。
どちらも全身にある経絡(ツボとツボを結ぶライン)を利用した治療法ですので、顔の治療であっても手足背中などにも治療をいたします。
最後に顔のマッサージをおこないます。
治療時間は1時間ほどかかりますから、初診時は問診などと合わせて2時間近くかかります。時間に余裕を持ってご来院下さい。
鍼灸施術
針
使用する針は、顔面神経麻痺の場合は、一番短くて細い0,12mmの髪の毛ほどの、毛針(もうしん)と言う針を使用します。
鍼治療は、顔と顔周囲にもしますが、その場合痛いと思われる鍼はいたしません。
また、顔と関連した手や足にも鍼をします。遠慮せず痛ければすぐに痛いといってください。
ちなみに鍼灸施術中は気持ち良くて寝ておられる方が大半です。ご安心下さい。
お灸
お灸は顔面神経麻痺の場合しないことが多いですが、脈の状態などで、するほうが効果が高いと判断した場合、必ず説明させていただいてから行います。温めることで、局所および全身の循環を良くし、神経や血管などの再生を促進する目的でおこないます。
お灸と言ってもせんねん灸のような痕が着かない灸で、小学生にも使用しているものです。ご安心下さい。
後遺症を見越した施術
後遺症が出ないと思われる場合は、治療は顔面神経の経路(ツボとツボを結ぶライン)上の、血液やリンパなど(東洋医学ではこれらの流れを総称して気血と言います)の循環改善をおこなうことで、弱った神経を修復再生させることを目的とした鍼灸施術をおこないます。低周波などの電気はやり方によって、後遺症を助長しかねませんので使用いたしません。
後遺症が出ると予想される場合は、後遺症の進行を抑え、顔面神経麻痺になった原因にあたる、疲労やストレス、内臓の弱りや体の歪み、水分代謝や冷えなどに対する体全体の修復を併せて行います。
本治法と標治法について
本治法は経絡という体全身にあるツボを利用した体のバランスそのものを正常に整える 為の治療です。
標治法は顔や肩、首、後頭部などの麻痺と直接関連する部分に対して、治療を行なうものです。
上記二つの治療を組み合わせることがとても大切で、東洋医学の基本と言えます。
これに前記のように発症後の時期により後遺症の前と後での治療を異なっておこないます。
遠絡療法
脳から内耳を経て顔へ到る顔面神経経路に対して遠絡療法を行います。
遠絡療法は手や足などの脳と関連したツボへ、指や遠絡療法の専用棒やマイナスイオンなどを使って刺激を与えます)
目に見えない部分の治療ですが、回復の決め手となる治療です。
顔の表情筋運動と顔のマッサージ
表情筋の運動とマッサージは、間違ったやり方をすると、共同運動や筋肉の短縮などの後遺症を強く出してしまいます。後遺症が出ないよう、顔の表情筋運動とマッサージのパンフレットをお渡しした上で、ご自宅でまたは職場でのリハビリ指導を早い段階からさせていただきます。施術の最後に顔のマッサージは施術室でさせていただきます。
鍼灸施術の開始時期
顔面神経麻痺発症から10日前後のステロイド点滴が終了する辺りを目安にしてくだ さい。もちろん入院している方は退院後。服薬治療をされている方は服薬を続けながら、 発症から10日後あたりから鍼灸施術を開始してください。
これはウィルスによる浸潤や炎症によって、顔面神経麻痺症状がピークを迎えた時期にあたります。顔面神経麻痺症状が軽症の方なら、この時点で症状は緩解に向かっています。
※後遺症が予想される患者様は早期から後遺症の予防をする為の日常の指導と、早期の回復を促す鍼灸治療が必要です。
※発症4ヶ月前後の後遺症時期になってからは、筋の短縮や、浮腫、硬結、痙攣、つっぱりなどへの対処に鍼灸治療は必須です。
治療を受ける間隔
基本的には週2回の治療をお勧めします。例えば医師から処方されるお薬でも朝晩一日2回と言ったように定期的な服薬が積み重なって効果が現れてきます。それと同じで、当院で治療を受けて一旦改善されても時間が経過すると効果が薄れてきます。そこで治療を積み重ねることで 効果の継続と改善がみられるのです。
(週2回連日の治療をしてあと5日空いても積み重ね効果の持続が見られるのも判ってきました)
もちろん地理的な関係や様々な要素で週2回の受診は難しいと言う方もおられます。最低週1回の治療でも効果はあります。
定期的、継続的に治療を受ける場合と治療間隔が開くまたは不定期の受診の積み重ね効果の差異は実際の臨床例にハッキリ現れてくるのも事実です。以下2つの症例を比べてみれば治療間隔と予後とに関わりがあることが少し理解されるかと思います。
※具体的な治療間隔は顔面神経麻痺症例をご覧ください。
重症度によっては治療期間が長くなりますから金銭的負担も大きくなります。
保険の条件に適合して保険が扱えるようなら考慮するべきだと思います。
後遺症を見越した施術
後遺症が出ないと思われる場合は、治療は顔面神経の経路(ツボとツボを結ぶライン)上の、血液やリンパなど(東洋医学ではこれらの流れを総称して気血と言います)の循環改善をおこなうことで、弱った神経を修復再生させることを目的とした鍼灸施術をおこないます。低周波などの電気はやり方によって、後遺症を助長しかねませんので使用いたしません。
治療を受ける期間
まず顔面神経麻痺の治療期間は重度さによって違いが生じます。その中には完全に治癒する方と完全に治りきらず一生後遺症が残る患者様もおられます。この差は顔面神経繊維の破損の程度であり、次に破損箇所の差異、そして水分代謝やアレルギーの有無に関わるのではと考えております。
1ヶ月から2ヶ月以内で治癒する軽症例
軽症例では耳鼻科でステロイド治療を終えたが治りが不安で来院されるケースが多くあります。しかし実際に診てみると現在は症状として残っていても心配がない例です。この場合長くみても2ヶ月以内に完治すると思われ、場合によっては、あれだけ歪んでいた顔が治療翌日に治ってしまったという経験をしています。
4ヶ月以内に治る軽症よりも少し重いタイプ
顔面神経麻痺中度では、軽度よりも重いタイプと重度に近いタイプの幅があります。
4ヶ月以内に治ることが予測されるが後遺症も出る例です。この後遺症状は本人も気付かない程度のもので、やがて落ち着いて判らなくなってきます。
1年ぐらいでほぼ治るタイプ。もしくは外見上はわかりにくいが後遺症が残るタイプ。
顔面神経麻痺でも中度から重度に近い、もしくは重度の症例
10年前に顔面神経麻痺なって治っていない高齢者や、幼児期になって未だに笑うと顔がグニャッと歪む20代の若者が来院したりします。これは顔面神経繊維の随核もしくは髄鞘まで破壊され治癒に時間がかかったことや、適切な治療がなされなかったり、アレルギーや水分代謝異常などの体質的な原因が関与したと思える症例です。
日常の過ごし方
入院時を除き、顔面神経麻痺発症前と変わらない生活スタイルで、仕事や家事が続けられるのならそれに越したことはありません。
美容院に半年間行けなかった。という方の気持ちはよく理解できます。
しかしマスクをして仕事や家事を優先し、治療が後回しになるのなら考えものです。
顔面神経麻痺の中等度から重度の場合は、何よりも治療を優先させるべきだと思います。
顔面神経麻痺は治療期間が限られた病気です。仕事を優先して一生後遺症を残すのは悔やまれます。
また逆に、顔面神経麻痺に罹患すると、人に会えず家に閉じこもりがちになる方もおられます。こういった方の気持ちも理解できますが、病気とは字の如く、気持ちがうっ滞することから始まります。
必ず良くなります。安心して治療をお受け下さい。
参考文献
医道の日本誌2011年6月号 鍼灸クリニカルレポート
著者 埼玉医科大学 新井千枝子 山口智
顔面神経分岐図 慶応技術大学医学部解剖学教室 著者 船戸和弥
栢森良二 顔面神経麻痺リハビリテーションの新しい展開